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2014.04.20

酒さについて

学会などで学んだことで、何かに書いて残しておこうと思ったことを、メモ代わりにこのブログに書いていこうと思います。何かの不具合で突然消えてしまうことがあるブログですが、よかったら読んでみてください。

【酒さについて】

2011年日本皮膚科学会東京支部総会で田邊恵美子先生の「酒さを見逃すな」というタイトルの発表を聞く機会がありました。それまで、酒さというと教科書でフラッシング、灼熱感が症状としてまず書いてあること、掲載されている写真は典型例であることより、酒さはそれほど多い疾患ではないと感じていました。田邊先生の報告は、典型例だけでなく軽症例、部分的に生じる例もあるという報告でした。そういう視点からみると、典型例ではないけれど酒さの要素をもった患者さんはかなり多いということがわかりました。米国ではスコア化された診断指針があるようです。どこまで酒さと診断してよいか迷うところはありますが、私は酒さの傾向があると考えた例は酒さ疑いとしています。酒さは多因子の疾患で、例えばフラッシングを欠く例も沢山ある様に思われます。

また、酒さと診断しないまでも、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎やにきびの患者さんの中に酒さの素因をもった患者さんは、これはまた、たくさんいると感じるようになりました。酒さは、接触皮膚炎とは鑑別する必要がありますが、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきびとは、必ずしも鑑別する疾患ではないと考えております。

東北大学の山崎研志先生らは、酒さの病態を自然免疫という観点から研究し、報告しています。専門的で一開業医の私が紹介すべき内容ではありませんが、なるほどと思わせられる報告です。顔面の疾患に酒さの病態をもった人達がいてもおかしくはありません。

酒さにはステロイド外用をしてはいけないことはよく知られています。アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎ではステロイド外用をよく行います。酒さの素因があるか否かという見方をもってその患者さんを診ることは治療方針を考える上で大切なことのように思われます。

先日、第30回日本臨床皮膚科医会総会で、また田邊先生の講演を聴くことが出来ました。ヒリヒリする顔面皮疹を診たら、酒さを疑えとのことでした。

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